退職後に起業する予定で失業手当や再就職手当がもらえるのか?
(本記事はこれから法人を設立しようとする方向けの記事です)
児発、放デイは法人格でないと行政からの運営許可が下りません。
したがってこのビジネスをする場合は必ず法人で行う必要がありますが、これから法人を設立する方で失業手当や再就職手当をもらいながら開業をしようと考えている方もいると思います。
結論からいうと起業準備をしながら各種手当をもらうのにはかなり制約があり、やり方を間違えてしまうと全くもらえませんが、正しいやり方をすれば起業準備をやりつつ、手当をもらうこともできますので是非その方法を記載します。
各手当の概要
失業手当(失業保険) | 再就職手当 |
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失業中でかつ就職先を探している期間に対しての支払い | 失業手当を受給中に早めに就職が決まった方への支払い(失業保険の残り期間に対して) |
再就職手当は失業期間を長引かせず早く内定を決めた方に対するご褒美ですね。
まぁ確かにそうしないと、失業手当を期間いっぱい受給するために故意に働かない方も出てきてしまいますから。
・・・で、この次の就職先が決まった状態というのは、自分での起業するということも含まれています。
(法人化だけでなく個人事業主でもOKです)
なので会社を退職してから法人を設立する方も再就職する方と同じように受給ができます。
もちろん職探しを並行して行うことが大前提ですが、ハロワの条件は1か月間に2回応募実績があれば良いというもの。
ハッキリ言って簡単です。ハロワに行ったついでに探すのも、自分でインターネットで応募した実績でも構いません。
失業手当でなく再就職手当のみ受給したほうが良い
会社を退職して児発、放デイをしようと決めている人は、その段階から法人設立も当然決めているはず。
この決めている状態というのがポイントで、それは自分の心の中の話です。
要するに法人設立を決めていても、職探しを並行していながら法人設立の準備なら手当の対象になるのです。
失業手当と再就職手当はネット等で情報収集していると思いますので、何日くらい失業状態になればいくらくらいなどの細かい情報は割愛しますが結論としては・・・
失業手当・・・諦めたほうが良いです
再就職手当・・・諦めた場合と比べて半月くらい遅れても良いなら受給できます
失業手当を諦めたほうが良いのは、自己都合で会社を退職した人は”給付制限”に該当することが大きな理由です。
(たぶんこの記事を真剣に読んでいる人は、解雇や倒産といった特殊な辞め方はしてないと思うので)
失業手当をもらうには退職してから1週間くらいの待期期間経過後から対象になりますが、自己都合で会社を退職した方は一部の例外を除いて2カ月の給付制限期間が加わります。つまり退職後1週間経過後+2カ月経過後からが受給対象の期間となる訳です。
この2カ月の給付制限は見落として勘違いしている方が多いです。この場合、待期期間後すぐに失業手当対象期間になる訳ではないのです。自己都合で退職する方の大部分はこの給付制限に該当します
つまり、失業手当をもらうためにはそれだけの期間、正式な会社設立に向けた準備はできないのです。
(職探しと並行すれば準備はできますけどさすがに2カ月は長すぎます)
起業前の大切な時間を失業手当のために2カ月も遅らすのは止めたほうが良いです。しかし再就職手当のほうは条件があえば受給を狙ったほうがよいです。
起業準備をしながら再就職手当をもらうためのポイント
全ての方におすすめしている訳ではありません。以下の条件に当てはまる方のみ再就職手当を検討してください。
①所定給付日数が長い方
(目安として所定給付日数が120日以上の方)
②起業準備が手当をもらわない時に比べて2~3週間程度遅くなっても大丈夫な方
①の理由として、再就職手当の計算式は基本手当日額によって変わってきますが、ある程度ベースになる金額と所定給付日数が長くないと受給金額もそれほど多くないため、メリットが少ないです。
(計算例:年収600万円、所定給付日数が150日の方が、自己都合で会社退職後、約1か月後に起業した場合
➡6,120円(基本日額上限)×120×0.7=514,080円となります。これはかなり高い部類のほうだと思います)
※ここが人によって大きく変わるので計算してみてください
要するに②のデメリットと多少の面倒な手続きをすることになるが、それよりもこの金額が受領できることの方がメリットが大きいと思う方はもらったほうが良いでしょう。
具体的な方法
まず退職後、7日間の待期期間が終わって離職票が来たらすぐハローワークに行きます。
そこで今後の認定日の案内や、あなたの失業手当の受給の説明を受けます。
この時に説明されると思いますが再就職手当の要件は以下のようになっているはずです。
起業=自力での再就職と同じ扱いです。職探しと並行しての起業準備は問題ありませんが、”確実に起業を前提とした行為”=就職先が決まった状態と同じとなるので、そこを注意しなければいけません。
分かりにくいと思いますが、何が大丈夫で何がダメなのか記載します。
この1か月と1週間の間に職探しと並行して・・・
やっても良いこと➡確実な起業を前提とした行為ではない(検討段階であると見なされる)
やったらダメなこと➡確実な起業を前提として行為とみなされる
具体的な内容として以下のような感じになります。
やっても良いこと(これだけでは起業が前提とはいえない) | やったらダメなこと(確実な起業が前提) |
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定款を作成する | 定款を公証役場で受領する |
法人の印鑑を作る | 登記のための手続きを法務局で行う |
法人口座開設のため銀行へ相談に行く | 法人口座を開設する手続きを行う |
登記のための書類を用意する | 店舗物件の契約を行う |
店舗物件の見学をする、店舗探し、家賃交渉 |
つまり再就職手当をもらうには最初の1か月と1週間は職探しと並行して上記のやっても良いことの範囲であれば起業準備ができます。その期間が終わったらすぐにハロワに行き今日から”起業準備に専念します”と報告にいきましょう。それが残支給日数が最大になりますので再就職手当を一番高く受給する方法です。
しかしもし早まってダメなことをやってしまったら手当は諦めましょう。もし不正受給したことが分かれば遡って罰金がかかり処罰されます。
注意したいこと
方法としては以上ですが、何をすれば確実な起業準備にあたりNGなのかはハロワ職員でもバラツキがあります。
ですので、最初に窓口で「職探しと起業準備を並行してやりたいが、何をしたらダメなのか」確認するようにしてください。
別に不正受給をする訳ではないので、「職探しと起業を並行して検討したい、生活のこともあるので再就職手当が受給できるタイミングが来たらすぐに決断してスタートしたい」と相談すれば問題ないと思います。
初めて法人を設立する方は不安でいっぱいだと思います。やることもたくさんあるため、再就職手当の受給を狙いながら調整しながら準備するのは結構ストレスもかかりますが、起業準備に使えるお金のためですので興味がある方は検討してみてください。